税務トピックス 記事
■2025年1月28日
代襲相続人になれない養子の子
◆相続における養子のメリット
自分の子供以外に財産を承継させたいときはその者と養子縁組することにより、養子に財産を相続させることができます。
また、法定相続人の数には他に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで含めて相続税の基礎控除額(遺産に係る基礎控除)を1人あたり600万円増加させて計算し、税負担が少なくなります。ほかにも生命保険の死亡保険金および死亡退職金についても法定相続人1人あたり500万円が非課税となり、相続税額を少なくすることができます。
◆相続人の子が代襲相続人となる場合
相続人となる子が先に死亡していた場合、その死亡した子の子は代襲相続人として親の代わりに相続できます。ただし、代襲相続人から被相続人の直系卑属でない者は除くとされています。
ところで被相続人の養子が先に死亡していた場合、養子縁組前から養子の子が被相続人の代襲相続人になれるかが問われた裁判がありました。
◆養子の子が代襲相続人になれない場合
令和6年11月、最高裁では養子の子が代襲相続人になれないとされました。被相続人には配偶者も子もなく、親も死亡していました。そこで被相続人の母と養子縁組していた被相続人の従妹がただ一人、被相続人の兄弟姉妹(養子)として相続人になりますが、被相続人より先に死亡していたため、その子(養子の子)が代襲相続人として不動産の所有権移転登記を申請しました。登記官は「申請の権限を有しない者の申請」であるとしてこれを却下したため、裁判となりました。
原審(高裁)は、兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続人の条件である「被相続人の直系卑属でない者を除く」を「傍系卑属でない者を除く」と読み替え、養子の子は傍系卑属で代襲相続人になれるとしました。
最高裁は養子縁組前に出生した養子の子は養子縁組による血族関係を生じないことから代襲相続人になれないとした過去の判例を参照し、本件においても被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子の場合、養子の子は被相続人と養子の共通の親の直系卑属でないことから養子の代襲相続人とはなれないとしました。
本件では、遺言書を作成しておけば相続できたものと思われます。傍系卑属の養子縁組には今後、注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>
(注意)
上記の記載内容は、2025年1月28日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
■2025年1月28日
年金と税制
◆老齢年金は課税、障害・遺族年金は非課税
公的年金給付は受給権者の生活の安定のため、支給を受けた金額が租税等の課税対象とならぬよう課税対象から外されています。ただし例外的に老齢年金は課税対象とされています。これは、老齢への備えとして保険料納付実績に比例した給付であり、一種の貯蓄的な性格や給与の後払い的な性格があること、保険加入中に被保険者として納付した保険料は社会保険料控除として拠出段階ですでに非課税であること等を勘案したものとされています。
障害年金と遺族年金はあらかじめ発生を予期できないリスクに対応して給付を行うもので非課税とされています。
◆公的年金は公的年金控除の対象
公的年金等の収入は雑所得に区分され、公的年金等控除額を差し引いて、所得金額を計算します。公的年金控除の額は定額控除40万円と定率控除(50万円を差し引いた後の年金の収入に応じて、25%、15%、5%と段階的に減少)を合計し、合計額と最低保障額(国民年金基金、65歳以上は110万円、65歳未満は60万円)の大きい方の額になります。
公的年金控除は基礎年金、厚生年金、厚生年金基金、国民年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(企業型・個人型iDeCo)等が対象です。
◆老齢年金でも一定額以下は非課税
単身者で公的年金控除の最低保障額110万円と基礎控除48万円に支払った医療保険料、介護保険料等の社会保険料控除を加えた額が所得年金収入158万円に社会保険料の額を加えた額以下の場合は、課税所得がないので所得税は非課税になります。
住民税を見ると公的年金等控除最低保障額110万円を差し引いた額が均等割り非課税基準以下の場合は非課税です。非課税基準は自治体により異なりますが、東京23区や指定都市の基準は同じです。
年金に所得税がかかる場合は、日本年金機構が年金支給額から所得税を源泉徴収して国に納付します。公的年金等以外の所得が20万円を超える場合や公的年金等の収入が400万円を超える場合は確定申告が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>
(注意)
上記の記載内容は、2025年1月28日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。